1. 乳房とは

 

乳房は、乳腺と脂肪と支持組織より成り立っています。乳腺はホルモンの作用によりミルクを作って出す働きがあり、この乳腺は網の目のように張り巡らされています。乳腺はさらに乳管と小葉に分けられます。この乳腺を支えているのがク−パ−靭帯といい、乳腺と乳腺の間には脂肪があります。また、乳首にはミルクの出る穴が15-20個あります。乳がんは乳管あるいは小葉から発生します。

2. 乳房の病気について

 

授乳中になることが多い病気です。ミルクがたまりすぎたり、乳首や乳輪部から細菌が入ったりして起こります。痛みがおきたり乳房が赤く腫れ、熱が出て、抗生物質が必要なときもあります。また、炎症が強い場合は切開して膿(うみ)を出すこともあります。中年女性にもこれに似たものがあり、症状が軽度で、慢性に経過しているものは、乳がんと区別し難いことがあります。

 

乳腺の病気の中で、最も多い良性の病気です。といってもホルモンの影響による女性特有の変化であり、病気というより生理的なものです。未婚の女性や授乳経験のない30〜40歳代に多く見られます。症状としては乳腺に凸凹のある境界不鮮明なしこりをつくります。生理前にしこりが張ってきたり、痛みが強くなるのが特徴ですが、赤くなったり、へこんだりするような皮膚の変化は見られません。普通、治療の必要はありませんが、痛みがひどい場合には、薬物治療をおこなう場合もあります。触れただけでは乳がんと区別がつきにくいので注意が必要です。

 

のう胞とは、乳腺症の1つの形で、乳腺の中に水が溜まった袋のことで、しこりとして触れることがあります。直接の原因は、乳管が詰まり分泌物が溜まることです。超音波検査ですぐに診断ができ、特に治療の必要はありませんが、大きなのう胞で痛みがある場合は注射器でしこりの中の水を吸いとって小さくすることもあります。閉経したあとにはほとんどみられません。

 

15〜30歳位の若い人に多い乳腺の良性腫瘍です。触ると、硬くて丸く、くるくるよく動くビー玉のようなしこりであることが、特徴です。痛みはありません。通常、しこりは小さく、2cm以上になることは少なく、治療の必要はありません。しかし、まれにしこりが急に大きくなることがあり、この場合は摘出手術が必要です。

 

20〜30歳代の若い人に多い腫瘍です。線維腺腫と良く似ていますが、しこりが急速に大きくなるのが特徴です。基本的には良性ですが、悪性化するものもあり、手術により正常乳腺を含めて大きく切除する必要があります。悪性のものの中には、肺をはじめ全身へ血行性転移をするものもあります。

 

乳頭の近くの乳管に出来る良性の腫瘍(ポリープのようなもの)です。乳首から血液や血液の混じった液が出たり、しこりとして気づくこともあります。がんとの区別が難しい場合もあり、詳しい検査が必要です。

 

乳腺にできる悪性腫瘍です。症状は、しこり、血性分泌、乳首の陥没、皮膚のくぼみ、わきの下のしこりなどさまざまです。早期のがんではごくわずかな乳腺の硬さや違和感で気づいたり、あるいはマンモグラフィ、超音波などの画像検査でしか分からない場合も多くあります。このため、定期的な検診が早期発見にとても重要となります。なお、早期の乳がんには痛みはありません。  治療は手術、制癌剤、女性ホルモンの分泌を抑えるホルモン療法、放射線などありますが、手術が治療の基本です。切らずに治ればいいのでしょうが、どんなに早期でも手術をせずに放っておいたらがんは進行してしまいます。戦う前から負けを宣言しないよう、そして敵を知り、敵から逃げないことが大事です。

3. 自己触診

 

自己触診の大切さについて


乳がんは体の表面にある乳腺にできるものであり、他のがんとは違い自分で発見可能です。乳がんの最初の症状はしこり(腫瘤)がほとんどであり、約90%の方がしこりを自覚しています。大部分の方は更衣中、入浴中など偶然にしこりを発見していますが、定期的に自己触診を行えば、より小さな早期のがんとして発見できます。

 

自己触診法の実際


乳がんの早期発見に大切なことは、定期的に日を決めて乳房の自己触診を行うことです。正常な乳房でも、若干しこりがあるような感じがしますが、多くは生理前に強く、乳房に痛みを感じることさえあります。したがって、自己触診を行うのは生理終了1週目あたりが適当です。自己触診で健康な自分の乳房の状態が分かりますが、普段と比べて、少しでも変ったことがあれば乳癌専門医の診察を受けるようにしましょう。なお、少し硬い感じ? あるいはしこり? と思っても反対側の同じ部位も同様であれば、おそらく大丈夫です。しかし、左右非対称な硬さやしこりを見つけた場合は要注意です。

 

乳房の外見を観察し、左右差がないかをみるのがポイントです。両腕を上げた状態、下ろした状態、上半身を左右にひねった状態、腕を上げたまま前かがみになるなどいろいろな状態で観察します。注意点は、左右の大きさの違い、皮膚の凹みの有無などです。


やまかわ乳腺 乳腺・甲状腺疾患について

 

乳首や乳輪部ではへこみやただれが無いか、また乳首が異常な方向を向いていないかを観察します。乳首よりの異常分泌の確認には、人差指と親指で乳首をはさみ乳輪部を下に押しながら指に力を入れます。また、乳房全体を手のひらで圧迫して乳頭異常分泌がないかも確認します。


やまかわ乳腺 乳腺・甲状腺疾患について

 

検査する側の腕を下げ、わきの下につけたまま、反対側の手で乳房をまんべんなく触ります。指はねかせたまま腹側で触ることが大事で、乳首を中心に渦巻き状あるいは肋骨に平行に内側より外側へ触っていきます。指先は立てないこと、わしづかみのようにつまんだりしないことが大切であり、ゆっくりと丁寧に移動することを心がけます。見落としのないように一回でなく2〜3回試みましょう。次に、下げた腕を頭の方に上げて胸を張った姿勢でもう一度ゆっくり触ります。片方が終ったら反対側を調べます。入浴の時には石けん、入浴以外の時ではパウダ−をつけると指のすべりがよく調べやすくなります。脇にしこりがないかも確認します。


やまかわ乳腺 乳腺・甲状腺疾患について

 

検査する側の肩の下に枕やタオルなどをいれてやや高くして行います。3と同じ様に腕を下げた状態と上げた状態で行います。指先も同様にねかせたまま、肋骨に沿うように外〜内側に触っていきます。最後に脇にしこりがないかも確認します。


やまかわ乳腺 乳腺・甲状腺疾患について
4. マンモグラフィ検診について

マンモグラフィのみの検査では約10%ほどのがんが見落とされます。しかし、見落とされるがんは触診ではっきり分かるような大きなしこりのことも多く、マンモグラフィで分かるのは手で触っても分からないような小さな早期がんがほとんどです。したがって、自己触診、そしてマンモグラフィや超音波を組み合わせて検診をうけることが見落としを0%に近づけるポイントです。

 

 

© 2007-2018 YAMAKAWA BREAST CLINIK|やまかわ乳腺クリニック. All Rights Reserved